大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

前橋地方裁判所太田支部 昭和51年(ワ)34号 判決

主文

被告らは原告に対し、各自金五、二二四、八五一円および内金二、五六一、五四五円に対する昭和四九年一一月八日から、内金二、六六三、三〇六円に対する昭和五一年九月一日から各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は、被告らの負担とする。

この判決は仮りに執行することができる。

事実及び理由

原告は主文第一、二項同旨の判決ならびに仮執行の宣言を求め、その請求原因を次のとおり述べた。

「一 (事故の発生)

原告は昭和四九年一一月七日午前一一時三二分ころ、太田市大字藤阿久九一八番地先交差点を、太田市方面から伊勢崎市方面に向けてバイクで直進中、被告浜田豊二(以下被告浜田という)運転の貨物自動車(普通ダンプカー群一一さ一、四一一号)に衝突され、後記の傷害を負つた。

二 (事故の状況)

事故現場は、太田―伊勢崎線と太田バイパスが交わる三差路であり、原告が太田方面から伊勢崎市方面に向けて直進しようとしたのに対して、太田市方面から太田バイパスに向けて左折しようとした加害車両運転の被告豊二が、左側方の安全を確認しないまま漫然と左折したため発生したものである。

三 (傷害の部位、程度)

原告は、本件事故により骨盤骨折、左大腿骨開放骨折、左下腿骨骨折、右下腿骨骨折、右大腿部挫創、尿道損傷等瀕死の重傷を負い太田市内の総合太田病院に入院する等その入通院の明細および後遺症の程度は次のとおりである。

1  入、通院の明細

(一)  総合太田病院に入院(三三三日間)

昭和四九年一一月七日から同五〇年一〇月五日まで

(二)  国立塩原温泉病院入院(一四五日間)

同年同月七日から同五一年二月二八日まで

(三)  総合太田病院

(1)  同年三月三日から同年三月三一日まで通院(二九日間)

実治療日数二四日間

(2)  同年四月一日から同年五月一二日まで入院(四二日間)

(四)  群馬県医師会沢渡病院入院(七九日間)

(五)  入院 五九九日間(約二〇か月)

通院 二九日間(約一か月)

2  後遺症の程度

原告は、昭和五一年七月三一日前記沢渡病院を退院したが、膝、足関節の抱縮が残存し、両側とくに左側の膝および足関節の可動域制限(膝屈曲左五度、右七〇度足伸展左マイナス二〇度右マイナス一〇度)、約二センチメートルの左下肢短縮があり起坐、正坐、胡坐は不能、左片脚起立、歩行は困難で、歩容は拙劣であつて、少くとも第九級以上の後遺傷害を有するものである。

四 (被告らの責任)

被告新井一久(以下被告新井という)は加害車両の保有者として自賠法第三条により、被告浜田は加害車両の運転者として民法第七〇九条により、本件事故によつて原告に生じた後記損害を連帯して支払う義務がある。

五 (損害額)

本件事故により原告が蒙つた損害は次のとおりである。

1  入院治療費 八四〇、四〇八円

(内訳)

(一)  昭和四九年一一月七日入院治療費 八七五、八四〇円

(二)  同年同月八日から同月三〇日の入院治療費中国保三割負担分 二二二、二〇〇円

(三)  同年一二月分医療保護一部負担金 五九、〇四二円

(四)  同五〇年一月分同右 四九、一一二円

(五)  同年二月分同右 五六、一六二円

(六)  同年三月分同右 六一、〇一二円

(七)  同年四月分同右 四七、三七二円

(八)  同年五月分同右 四六、六二二円

(九)  同年六月分同右 四六、九二二円

(一〇)  同年七、八月分同右 五九、四四一円

(一一)  同年九月分同右 四六、四六四円

(一二)  同年一〇月同右 八、一三〇円

(一三)  同年同月から同五一年二月分同右 四六、〇〇〇円

(塩原病院)

(一四) 同年三月分 五、六二五円

(一五) 同年四月分 五五、六八〇円

(一六) 同年五月分 一七、一五四円

(一七) 同年五月から同年七月分 七二、三五〇円

(沢渡病院)

右のうち、(一三)および(一七)以外は、総合太田病院に対して支払つた分である。

右、(一)ないし(一七)の合計金一、七七五、一二八円のうち、金八〇〇、〇〇〇円は自賠責保険により、また、金一三四、七二〇円は被告浜田より支払われた額の合計金九三四、七二〇円を差引いた金八四〇、四〇八円が入院治療費の実損害である。

2  逸失利益 一、五一八、九四三円

原告は、本件事故当時農業のかたわら、太田市内の太竜建設株式会社に作業員として勤務し、事故直前の三か月間に次の給与を得ていた。

昭和四九年八月 八二、一〇〇円

同年九月 七四、二〇〇円

同年一〇月 五三、〇五〇円

これにより原告の一か月当り平均給与は金六九、七八三円となる。

従つて、昭和五一年八月末日までの逸失利益は金一、五一八、九四三円となる。(但し昭和四九年一一月分については、二三日分を日割計算した)

3  付添費用 六六六、〇〇〇円

原告は総合太田病院に入院した期間のうち、昭和四九年一一月七日から同五〇年一〇月五日までの三三三日間、重症にてベツト上安静を要するため付添を要した。この間の付添費用は、一日当り金二、〇〇〇円として右金員となる。

4  入院中雑費 二九九、五〇〇円

原告の延入院期間五九九日間につき一日当り金五〇〇円の割合にて計算すると右金額となる。

5  入通院期間中慰藉料 一、九〇〇、〇〇〇円

原告の入院期間は延べ五九九日間(約二〇か月)通院期間は二九日間(約一か月)であり、この入通院期間中の慰藉料を算定すると右金額となる。

六 以上第五項の1ないし5の各金額合計は金五、二二四、八五一円となるのでこれを被告らに請求すべく、かつ内金二、五六一、五四五円に対する昭和四九年一一月八日から内金二、六六三、三〇六円に対する本件訴の変更申立書送達の日の翌日から、いずれも民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。」

被告新井は「原告の請求を棄却する。本件加害車両の所有者としての責任は認める。」と述べた。

被告浜田は適式の呼出を受けたのに、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、民事訴訟法第一四〇条第三項により原告主張事実を自白したものとみなす。

従つて被告新井は加害車両の保有者として、被告浜田は加害車両の運転者として本件事故によつて原告に生じた損害を連帯して支払う義務がある。

右の事実によると、原告の被告らに対する右損害金五、二三四、八五一円および内金二、五六一、五四五円に対する昭和四九年一一月八日から内金二、六六三、三〇六円に対する本件訴の変更申立書送達の日の翌日であること記録上明らかな昭和五一年九月一日から各支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求はいずれも理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を、仮執行の宣言につき同法第一九六条第一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 多賀谷雄一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例